銀座ブランドが泣くよ… ホステスしててお店で耳にする良識を疑う発言について
もち乃です。
仕事でつらいと思うことって色々ありますよね…。
私はホステスとして働いていて、「あぁ今お金のために魂を売っている」と感じてかなりダメージを受けることがあります。
客商売に限らず仕事として人と関わるのであれば、割と多くの方が遭遇されてるんじゃないかと思うことなんですけど。
仕事は大変なものです、が…
何がつらいって「自分は全くそう思わない」って内容の話に笑顔で同意しなければならないことです。
あぁ…こう書くと社会に出て初めての厳しさを味わったばかりの甘ちゃんの新入社員みたいですけど、ちょっとちがうのでどうか話を聞いてください!
同意したくないのは「目玉焼きは醤油派」とかみたいなどうでもいい話ではもちろんありません。
お店で話題に上がることって様々です。
ただの世間話、自慢、愚痴、下ネタ、女の子へのお説教なんかも。
純粋に女の子を楽しませようとしてくださる(そして実際に楽しい)奇特なお客様もたまにはいらっしゃいますけど、基本的には話していて、そして聞いていて本当に楽しいお話なんて大してありません。
でもそれが当たり前だと思っています。
お客様に楽しんでいただくように話を振ったり、リアクションしたりして盛り上げるのが仕事ですから、自分が楽しんでちゃできませんし。
(「お客様を楽しませるためにはまず自分が楽しまなきゃ!」はまぁなんというか、詭弁ですよね…)
これだけはものすごくイヤ!
それでも、「仕事だから」でどうしても割り切れないことがあって。
何かというと、良識を疑うような内容の話にいい反応をしなければならないってこと。
差別的だったり、偏見が過ぎるような発言は本当は耳にもしたくないのですが、それにさも感心したように「うんうん」とうなずかなければならない時の苦痛と言ったら!
そういった場面が頻繁とは言わないまでも、割とあるからつらいです。
例えば、「人間はみんな幸せと不幸せのバランスが同じになるように出来ている」というそれっぽい持論を裏付けるために、歌舞伎役者の奥さんが生死に関わる病気を患っていることや人気アイドルの子どもの障害を引き合いに出されたことがありました。
歌舞伎役者やアイドルが仕事で成功しているため、帳尻合わせとして家族に病気や障害が出るのだ、とさもそうなって当然というような話しぶりでげんなり…。
特定の人種や国のことをひどく悪く言ったり、人の出自で人格を否定するような発言なども聞くことがあります。
被差別部落への差別発言が出た時にはおどろきました。
現代の東京でそんなこと聞くことになるとは。
あとはセクシャルマイノリティ(LGBT)への偏見や無理解も根強いですね。
女性差別に関しては、特殊な仕事ということもあってある程度は受け流さなければならないのかなと思ってはいますが。
「天下の銀座」じゃないの?
閉ざされたお店の中でお酒も入っての話なんだから、そんなお利口なことばかり話していられないよ!っていうのは分かります。
基本は私もそう思って多少の悪ふざけや下ネタには精いっぱいお相手をするようにしてるんです。
でもでも、昔の勢いはなくなったとはいえ日本一の夜の街銀座ですよね?
お客様も、そしてお店側だってその「品格」というものを意識しまくってるはず。
だったらお店での会話も最低限モラルに反しない内容であるべきだと思うんです。
都合のいい時だけ「銀座のクラブで遊べる選ばれた男だぜ!(えっへん)」「銀座のお店ですから高級でしてよ、おほほ…」なんてやってないで、本質から本物であるべきです。
まがりなりにも経済的に成功した立派な方が、あまりに倫理観に欠ける発言をされたりすると「その感覚で社長やってるとか怖すぎる…」って不安になります。
そして、肩書きや地位にぴったりの思いやりにあふれたお話をされるお客様とお話できるとほっとします。やっぱりこうじゃなきゃって。
怒りとかじゃなくて悲しい
こういう「ひどいこと言うのやめようよ!」みたいな意見っていい子ちゃんぶりたいポーズと思われるでしょうか。
まぁどう思われてもいいですが、私は上に書いたような発言を聞くと自分は否定や非難の対象ではなくても悲しくなります。
こういう時感じるのってって怒りとかじゃなくて悲しみなんですよね。
あと言っている本人は何とも思っていないのに、なぜか聞いている私の良心が痛む…。
「仕事でそんなこと気にしてたらやっていけないよ~」って方もいますかね。
でも倫理観とか良心ってそんな簡単に変えたりごまかしたりできないよなぁ!
そんなわけで、毎回モヤモヤしながら作り笑いでなんとかやり過ごす私なのでした。
おしまい。