人の顔と名前が覚えられない!? 記憶力に自信がない人がするべきこと
もち乃です。
究極の接客業なんて言われることもある水商売の世界では、お客様の顔と名前を覚えることは基本中の基本、出来て当たり前みたいに考えられてます。
私の働く銀座の街なんて特に、ブランドがあるからヘタな営業できないみたいな妙な気負いがあったりしてちょっと面倒臭いくらいです。
でもね、正直なところホステスやってても名前や顔なんて全然覚えられないんですよ。
この問題、夜の世界だけじゃなくてけっこう多くの方が気にしてると思うので、私なりにどうしたらいいか考えてみました。
おじさんが覚えられない
店の女の子だけで話している時にちょこちょこ話題に出るのが、「まじでおじさんが全員一緒に見えるんだけど…」という問題。
これに関しては全員が「そうそうそうー!!!」って激しく同意するのがお約束の流れです。
だいたい白髪交じりでスーツにメガネ、あとは太ってるか痩せてるかの違いくらいしかないですからね。
名前を覚えるどころか、見た目の区別すらできてないという絶望的な状況です。
人の顔や名前が覚えられない病気
ある特定の病気を抱えている人たちは、人の顔や名前を覚えることがとても難しいそうです。
一般的にそういった症状が出てしまうと言われる病気をあげてみますね。
相貌失認(失顔症)
相貌失認(そうぼうしつにん、Prosopagnosia)とは脳障害による失認の一種で、特に「顔を見てもその表情の識別が出来ず、誰の顔か解らず、もって個人の識別が出来なくなる症状」を指す。 俗に失顔症とも呼ばれる。
人の顔が覚えられない病気として映画などの題材にもなっています。
俳優のブラッド・ピットがこの病気を持っていると公表したこともあり、それなりに知られている病気ではないでしょうか。
発達障害
発達障害は大きく3つに分けられます。一つ目は以前アスペルガー症候群(AS)と言われた自閉症スペクトラム(ASD)。2つ目は注意欠如多動性障害(ADHD)。そして最後が学習障害(LD)となります。
自閉症スペクトラム(ASD)≒アスペルガー症候群(AS)
アスペルガー症候群(AS)とは、
・コミュニケーションの問題
・対人関係の問題
・限定された物事へのこだわり・興味
の3つの症状がみられる脳の機能障害であり、発達障害の1つです。
アスペルガー症候群の人は、「ワーキングメモリー」といわれる短期記憶機能が弱いため、人の顔を覚えることが苦手な場合があります。何回か会っているのに「はじめまして」と挨拶をするなど、会社で取引先などの外部の人とかかわるときに支障が出ることがあります。
注意欠如多動性障害(ADHD)
ADHDはワーキングメモリ(短期)の容量が少ないため、すぐに忘れてしまいます。会話をしていても、相手が話した情報を頭に保存できずに、あっという間に抜けてしまいます。
人の名前や顔を覚えるのも苦手です。
発達障害も最近知名度が上がってきた疾患です。
知的障害ではないため普通に就職もできますが、組織の中でうまく振る舞うことができず問題を抱えてしまうことも多いようです。
人の名前を覚えられないだけでも仕事に支障が出てしまうでしょうし、他にもコミュニケーション全般が苦手ということなので、人間関係には苦労するでしょうね…。
人を覚えられない病気はこのようなものがあります。
こういった病気が原因で人の名前や顔を覚えられない場合は、本人が病気の特性に合った行動がとれるようにするだけでなく、周りの理解やサポートも重要です。
覚えられない本当の原因はなに?
では、先ほど書いた私と店の女の子たちがお客様を見分けられないのは病気のせいなのでしょうか?
答えはもちろん「No」です。
なぜって女の子同士は一度会っただけできちんと認識しているし、よく来るお客様も覚えているから。
覚えられないのは、一、二度しか会ったことのない方とたまーにしか来ない方です。
あんまりはっきり言うのははばかられますが、人の顔や名前が覚えられない原因は、病気で覚える能力が弱い場合を除けば
覚える対象に興味がない
これしかないでしょうね…。
人を覚えるのって大変
「ホステスがお客の顔と名前を覚えない」なんて「仕事なんだからまじめにやれ!」と言われちゃいますかね。
しかも理由が「相手に興味が持てないから」だなんて、ふざけすぎでしょうか。
でもちょっと考えてみてください。
できるホステスのエピソードとして聞くことのある「何年も前に一度会っただけの客に名前で呼びかけて、相手の心を鷲づかみに!」みたいなやつ。
あんなんやろうとしたらエグいくらいの労力が必要になります。
ネットでも「人の名前を覚えるコツ!」とかたくさん出てきますけど、実践しようと思うとけっこうな負担だとわかりますよ。
そういったテクニックをざっくりまとめると、
- 相手の名前を声に出して呼んで印象に強く残す
- 相手の見た目や話の内容で印象的なことと名前を紐づけて記憶する
- 相手について得た情報を記録しておいて、何度も見返す
こんな感じです。
う~ん、ここまですればそりゃあ少しは覚えられるでしょうねってくらい大変です。
特に「記録して見返す」ってところ…。
一人分ならそんなでもないでしょうけど、お客さん全員にするとなると気が遠くなります。
ちょっと気にしすぎでは?
そもそも「何年も前に一度しか会ってないお客様」の名前って覚えておかなきゃいけないんですかね?
名前を呼ばれたお客さんは確かに感激されるでしょう。
でもそれだけで全然来てなかった方がいきなり頻繁に通ってくれるなんてことはあまりないはず。
さらに言うと、何年も前に一度しか会ったことのない方は二度と来てくれないことがほとんどです。
つまり気の遠くなる努力をしても、無駄になることの方が圧倒的に多いということ。
確かに覚えているに越したことはないですけど、わざわざ苦労して覚えておく必要まではないかなと思います。
というのも、私は銀座のホステスとはいえヘルプという立場で、自分のお客様を持っているわけではないからです。
自分の売り上げになるのであればもっと必死にもなるでしょうが、いくら気に入ってもらっても来店ポイントなんて気持ち程度しかつかないのでモチベーションが上がりません。
そして、ホステスやキャバ嬢は数で言うと圧倒的にヘルプが多いです。
ヘルプから始めてゆくゆくは夜の仕事で身を立てたいという場合をのぞいて、たいていのホステスやキャバ嬢にとっては時給で働いているならそこまでの努力は割に合わない気がします。
(一般より時給が高い点については、酔った男性のお相手をしてプライベートで連絡を取り合っているだけでその価値がある仕事という認識でいます)
「おじさんが覚えられない」とは言え2、3度会ってある程度ちゃんとお話もすればさすがにそれなりに認識できるので、それで十分です。
これって世の大半の人に言えることで、一部のプロフェッショナルな接客を求められる特殊な仕事の人以外には、「会ったお客様すべてを一回で覚える」なんて目標設定が高すぎます。
夜の世界でなくとも「営業で成績トップになりたい!」とか「ホテルのコンシェルジュをしている」なんて方は、人並み以上のレベルで名前や顔を覚える必要があると思いますけどね。
どうしても覚えたいなら
それでも「人を覚えられなきゃ困る! でもそんなに努力できない…」という場合は、脳の働きを高めて記憶力アップを目指してみるといいですよ。
頭の働きの活性化に効く栄養素といえば、DHAとEPAです。
青魚に含まれる必須脂肪酸(体の中で作り出せないので食べ物で取る必要がある)で、脳に多く含まれています。
今注目度が高まっている「オメガ3脂肪酸」のひとつで、血液をサラサラにする効果があるので生活習慣病の改善も期待できるすごい成分です。
そんなDHAとEPAですが、厚生労働省が推奨する摂取量は1日1グラム。
これを青魚で取ろうとするとなかなか大変です…。
サプリメントなら毎日必要な分が手軽に取れますよ。
効率を考えて努力しよう
せっかく努力をするなら、もっと効果の高い方向にがんばるというのもおすすめです。
相手の名前を覚えていなくてもそれを気付かせないように振る舞うとか、とにかく相手を楽しませる話術を磨いて気に入ってもらうようにするとか、できることは沢山あります。
あと、会った時にとっさに名前が出ないよりも、メールや書面で相手の名前を間違える方がよっぽど失礼なのに意外とよくあるので、そういうところに気を付けるのは大切だと思います。
仕事ができるかどうかは「人の名前を一回で覚えられるかどうか」の一点だけで決まるわけではありません。
自分のできること、得意なことでカバーすればいいんです。
ひとりの人間ができる努力には限りがあるので、どうせするならなるべくやった甲斐のある努力をしたいですね。
おしまい。