宝塚歌劇 月組公演 ザ・ミュージカル「グランドホテル」レヴューロマン「カルーセル輪舞曲(ロンド)」 借金持ちホステスの感想
もち乃です。
先日、店のお客様からお誘いを受けて宝塚を観劇してきました。
こういうのもホステスのお仕事としてたまにあるんです。
キラキラの世界で現実逃避できるかと思いきや、そんなにうまくいかないもんですね。
もうブログに書かずにはいられない心境になってしまいましたよ…。
ネタバレというほどのことは書きませんが、内容に関して知りたくない方はお気を付けください。
場所と演目
お客様と待ち合わせて向かったのは、東京宝塚劇場です!
仕事場(店)が銀座なので、私にとっては馴染みのある立地。
見たのは月組公演でした。
演目は、
ザ・ミュージカル「グランドホテル」
モン・パリ誕生90周年レヴューロマン「カルーセル輪舞曲(ロンド)」
今回の公演は、新しく月組のトップスターになった珠城りょうさんのお披露目公演だそうです。
「グランドホテル」について
私にとって今回の観劇は「グランドホテル」の衝撃に尽きます。
グランドホテルって?
- 小説「ホテルで出会った人々」が原作
- ハリウッドで映画化された作品がアカデミー作品賞を受賞した
- その後、ブロードウェイでも上演されトニー賞を受賞している
1928年のベルリンにある高級ホテルを舞台に、そこに出入りする様々な人々のドラマを描いた群像劇です。
借金持ちにはメンタルにくる内容
私は特に宝塚ファンというわけではありません。
お付き合いで行ったということもあり、上に書いたような基本的な情報も何も知らない状態でのん気に席につきました。
(正直なところ、上演タイトルも当日現地で知ったくらいで…)
と・こ・ろ・が。
幕が開いてストーリーが始まった途端、へらへらしてた顔が急激に真顔になって背筋も伸びる事態に。
なぜって、出てくる人みんながお金に困ってるから!!!
軽くご紹介しましょう。
フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵(珠城りょう)
良いスーツを着た若いイケメンながら、実は借金を抱えていてホテルの宿泊費も滞納し続けている。
エリザヴェッタ・グルーシンスカヤ(愛希れいか)
旬を過ぎた世界的バレリーナ。今や興行が不人気でチケットが売れず、スタッフのギャラが支払えない苦しい状況にいる。
フリーダ・フラム(自分で付けた芸名:フラムシェン)(早乙女わかば/海乃美月)
女優にあこがれているフリーのタイピスト。妊娠しているが相手の男に逃げられ、お金に困って新たな雇い主をゲットしようとしている。
ヘルマン・プライジング(華形ひかる)
アメリカの実業家。大企業の社長だけど、会社が倒産しそうでヤバい。
※主要キャラは他にオットー・クリンゲライン(美弥るりか)、ラファエラ・オッタニオ(暁千星/朝美絢)などもいます。
超一流の高級ホテルの話なので、お客は全員相当なお金持ちのはずなんですけど、立派な身なりに反してみんな内情は火の車…。
もう物語の冒頭から「金、金、金…」のオンパレードです。
つらいよー。
キャラの状況が他人事ではない
主人公の男爵なんて借金持ちだけど周りにそうとは見えないようにしてるんですが、自分にも思い当たるところがありすぎて。
私は借金の返済も家賃も滞納してないし、お金のために窃盗もしないですけどね!
まぁ彼の場合、あんな贅沢な生活しなければ借金に苦しむこともないんじゃないかって気はする…。
そこは譲れないのかなー。
一番「うわー」と思ったのはタイピストの女の子(フラムシェン)です。
「スターになりたいな~」なんてフワフワした夢を見ているんですけど、生理は来なくなっちゃうし働かないとお金がない…。
グランドホテルに来てから口説いてきたイケメンも思わせぶりなだけで結局ほかの女と恋におちちゃうし、ヤケになってお金持ちのスケベおやじの愛人になることにしてしまいます。
物語だとそんなことしてる子がよくサブキャラでさらっと出てきたりしますけど、「愛人」って実際どんなことするかというとほら、ごにょごにょ…。
愛人契約をしたプライジングと2人になるシーンはもう、心が痛い!
女を売ってお金を得るって簡単なことじゃないんですよね。
借金持ちでお金に困っていてホステスなんてしてると、こういうの見るのはメンタルにきます…。
結局このことが原因でとある事件が起こってしまい物語はラストを迎えるんですが、事件後「なぜあんな男の愛人なんかになろうとしたんですか?」と聞かれた時の答えがほんと辛い。
「私、抜け出したかったんです!」
ああーそうだよねーーー!
自分に都合のいい夢を見て、でも現実はうまくいかなくてうんざりして、つい一発逆転をねらってバカみたいなことをしでかしてしまう。
愛人経験はないですが、そういう心理私もめちゃくちゃ分かります。
(私はFXでやらかしましたから…)
終盤までみっちりお金絡みの厳しさを忘れさせてくれない物語だったので、次の演目であるレビューの間はそれを引きずって気もそぞろって感じでした。
それにしてもこういう話を見ると、お金を持ってても経済的な問題から解放されることはないのかなって思ってちょっと脱力しますね。
お金がない時とは違う悩みが出てきて結局わずらわされるんだとしたら、フラムシェンのようにただただ裕福になることを目指しても幸せになれるのかどうか。
なんだか考えさせられます。
こんな私が見てすみません
「グランドホテル」、私にはなかなかきつい内容でしたが、原作ものということもありとても良い作品だったなと思います。
映画の方も未見ですが、今度見てみたいな。
宝塚は以前にもお付き合いで観劇したことがあるんですけど、その時はベタベタな少女漫画っぽいストーリーだったので、特にファンでもない立場としては今回のような恋愛要素の少ない人生模様の方が楽しめました。
まぁでも、ミュージカルでいうと私の本当の好みは「いやおうなしに」みたいなやつなんで、宝塚について語る資格ないかな!(さんざん書いたけど)
分かる方だけ分かってもらえればいいです…
レビュー(ショー)を見てて思ったことなんてこれですよ。
- スーツを着てずらっと並んだ男役さんの群舞を見て、
「きれいだけど、男の人のバージョンが見たい…」 - 肩出しドレス姿の娘役さんを見て、
「腕とか背中とか肌の出てるところはおしろい(ファンデ?)塗ってるんだなー」 - 舞台いっぱいに出てきた階段がキラキラしてたので、
「もしかしてこれ全部にカットガラス付けてある? だとしたら一体いくら掛かってるわけ!?」(カットガラスは少しの面積埋めるだけでもすごく高いです)
邪念がすごい!
というか邪念しかない。
もちろん、全編とっても美しくて目の保養になりましたけどね。
私の心ももっとキレイにならないと、あの美しさには見合わないなー。
おしまい。